投稿日 : 2023年2月17日 / 最終更新 : 2023年7月24日

ソフトスタート機能とは、ICが起動開始状態になってから、出力電圧が設定電圧に達するまでの時間を制御する機能です。ソフトスタート機能が搭載されていると、出力容量によらず出力の立上り時間が一定になります。

また類似の機能に突入電流防止機能があります。突入電流防止機能は起動時間の制御は行わず、突入電流の抑制のみ行います。

電圧レギュレータ 起動波形

(a) ソフトスタート無し XC6216 @VIN=12V, VOUT=5V

出力容量 : 1μF
出力容量 : 1μF + 33μF

(b) ソフトスタート有り XC6702 @VIN=12V, VOUT=5V

出力容量 : 1μF
出力容量 : 1μF + 33μF

ソフトスタート機能があることのメリットとしては、下記の点が挙げられます。

(a) 突入電流および入力電圧の低下抑制
(b) 出力電圧の立上り時間・スルーレートの制御

(a) 突入電流および入力電圧の低下抑制

ソフトスタート機能が搭載されていないICでは、起動時の出力電圧のスルーレートは制御されていない製品が一般的です。この場合 出力電圧が設定出力電圧に達するまで、ICが出力側に電流を供給することで、過度な突入電流が発生します。
過度な突入電流が発生すると、入力側のインピーダンスにより入力電圧が低下します。この入力電圧の低下が大きいと、ICの起動不良やシステムリセット等の原因となります。

電圧レギュレータ 起動波形 : VIN=4V, VOUT=3V, CL=1μF, RL=20mA/3.0V

突入電流防止機能無し : XC6223B301
突入電流防止機能有り : XC6223F301

(b) 出力電圧の立上りスルーレートの制御

ソフトスタート機能は、ICが起動開始状態になってから、出力電圧が設定電圧に達するまでの時間を制御するため、後段デバイスの起動シーケンス等で出力電圧の立上り時間やスルーレートを調整する場合に活用できます。

IC内部でソフトスタート機能が固定されている製品もありますが、製品によっては外付け部品等でソフトスタート時間を調整できるものもあります。

ソフトスタート時間の調整可能な製品では、出力電圧のスルーレート調整や出力に大容量のコンデンサが接続されている場合の突入電流低減を行うことが可能です。
出力に大容量のコンデンサが接続されている場合は、過度な突入電流が流れることで電源ICの保護機能が動作することで起動不良の原因となるため、ソフトスタート時間の調整等で起動不良対策を行うことが一般的です。

起動波形 : XC9271 500kHz : VIN=12V/VOUT=5V, CL=22μF x2 + 330μF x 3

起動不良@ソフトスタート時間=1.3ms
正常起動@ソフトスタート時間=9ms