ロードスイッチICの逆流防止機能とは、出力側の電圧が入力電圧より高くなった場合に入力側に電流が逆流することを防ぐ機能です。ロードスイッチICだけではなく、電圧レギュレータや充電IC等に搭載されていることもあります。
逆流防止機能が必要な事例
- Vout “OR” 接続で、出力側に入力電圧より高い電圧が印加された場合に入力側への逆流を防ぐ。
- 出力側に接続されたコンデンサや蓄電デバイスから、入力側への逆流を防ぐ。
- 出力側に外部電圧印加および蓄電デバイスが接続されている場合に、入力と出力側を遮断することで入力側に出力電圧を通電させない。
逆流防止機能の注意点 : 逆流防止機能なのに逆流する場合も
いかなる条件でも、出力側から入力側への逆流を防ぐと思われる逆流防止機能ですが、制御方式や使用方法によっては出力側から入力側へ電流が逆流してしまうことがあります。
そのため、逆流防止機能の制御方式や特徴を踏まえた上で、適切な逆流防止機能を持つ製品を選定する必要があります。
逆流防止機能の種類や使い分けについては、下記で説明します。
逆流防止機能の種類 : 逆流防止機能と完全逆流防止機能
逆流防止機能は、大きく分けて2種類に分類されます。
(1) 逆流防止機能
一般的なロードスイッチIC等に採用されている逆流防止機能です。
ロードスイッチICのスイッチ部がOFF状態の場合のみ、確実に逆流防止機能が動作します。
このタイプの逆流防止機能では、逆流しているかどうかを入力電圧が出力電圧より一定以上低くなったことで判定します。
入力容量が小さい場合や入力側から電流シンクが無い場合は、入力側への逆流電流により入力電圧が出力電圧まで上昇してしまいます。これにより逆流防止機能が動作する入出力電位差が確保できず、逆流防止機能が動作しないという現象が発生します。
この判定方法のメリットは、ロードスイッチがON状態の場合は、スイッチ部のFETが常時フルON可能でオン抵抗を低くすることが可能です。
ロードスイッチがOFF状態では、逆流電流が流れる前に 入力電圧が出力電圧より一定以上低くなるため、逆流防止が可能です。
(2) 完全逆流防止機能
ロードスイッチICのスイッチ部がON状態でもOFF状態のどちらでも、逆流防止機能が動作するものです。
このタイプの逆流防止機能では、逆流しているかの判定を 出力電圧が入力電圧より少し低い電圧になると逆流防止機能を動作させます。
この判定方法では、ロードスイッチICのスイッチ部がON状態でも逆流を防止することができます。
ただし、ロードスイッチがON状態の場合は逆流防止機能を誤動作させないために、入力電圧と出力電圧の電位差を一定以上保つ必要があります。そのため、一般的な逆流防止機能と比べて電圧降下および導通損失が大きくなる傾向にあります。