投稿日 : 2023年8月31日 / 最終更新 : 2023年11月10日

 ICにプルアップ抵抗・プルダウン抵抗が内蔵されているICで、プルアップ抵抗・プルダウン抵抗の抵抗値が規定されていない場合の算出方法を説明します。

Step1:ブロック図の確認

 まず、プルアップ抵抗・プルダウン抵抗の算出の前に、ブロック図の確認を行うことが重要です。

これは、プルアップ・プルダウンが抵抗でされているのではなく、定電流素子でプルアップ・プルダウンされている場合があるからです。

電圧レギュレータ XC6228 : 抵抗でプルダウン
ロードSW XC8111 : 定電流素子でプルダウン

 定電流素子でプルアップ・プルダウンされている場合は、抵抗と異なり印加電圧により電流は変わらず、定電流となります。データシートに記載の端子電流を参照しましょう。

Step2:抵抗値の算出

ブロック図を確認して、抵抗でプルアップ・プルダウンされていた場合は、データシートの端子電流を確認します。CE端子にプルダウン抵抗が内蔵されている電圧レギュレータXC6228を例に説明します。

電圧レギュレータ XC6228 ブロック図

XC6228はプルダウン抵抗が内蔵されているため、プルダウン抵抗に電流が流れる CE “H”での端子電流を確認します。

PARAMETERSYMBOLCONDITIONSMIN.TYP.MAX.UNITS
CE "H" CurrentICEHVCE=VIN=5.5V3.05.59.0μA
XC6228 CE "H"端子電流

ここで、CE “H” Current を規定している、測定条件(CONDITIONS) を確認します。

CONDITIONS に” VCE=VIN=5.5V “ と記載しているのは、CE=5.5V印加時の”H” Currentを規定しているという意味です。CE印加した電圧がプルダウン抵抗に印加されるため、プルダウン抵抗に5.5V印加すると、CE ”H” Currentが流れるということになります。 ここまでわかれば、あとはオームの法則を使ってプルダウン抵抗値を計算していきます。

オームの法則 “R = V / I” より、下記の式が算出されます。

CE印加電圧 = CE “H” Current x “プルダウン抵抗

上式を用いると、プルダウン抵抗は下記のように算出できます。

プルダウン抵抗 MIN = 5.5V / CE “H” Current MAX = 611kΩ

プルダウン抵抗 TYP = 5.5V / CE “H” Current TYP = 1000kΩ

プルダウン抵抗 MAX = 5.5V / CE “H” Current MIN = 1833kΩ

また、プルダウン抵抗を例に抵抗値の算出を行いましたが、プルアップ抵抗でも同様に算出可能です