投稿日 : 2026年9月2日 / 最終更新 : 2026年9月9日
ICやシステムが期待通りに動作しない場合、設計ミス・実装ミス、または設計時に想定していなかった現象が発生している可能性があります。
原因はケースによって様々ですが、ここでは原因を切り分けて特定するための基本的な進め方を説明します。
## **1. 測定環境の確認**
基板や回路の確認に入る前に、まず測定環境に問題がないか確認しましょう。
* **安定化電源の電流制限**
電流制限値が低すぎると、起動時の突入電流で電源が絞られ、正常に起動できないことがあります。
* **電子負荷の動作モード**
CC(定電流)モードで評価している場合、ICに内蔵の電流制限機能が動作して起動不良等の原因になることがあります。
* **マルチメータの入力インピーダンス**
入力側にマルチメータを接続していると、マルチメータの抵抗成分により供給電圧が低下して正常に動作しないことがあります。
## **2. 動作しない現象を把握する**
まず「どのICが・どのように動作しないか」を明確にします。
異常動作が発生する入力電圧・出力電流・特定の動作モード・温度依存・不良率などを調べ、どういった条件でどのような症状が発生するのかを把握しましょう。この情報は原因特定のために非常に重要です。
## **3. 原因の範囲を絞り込む**
動作しない回路付近で後段デバイスを削除・前段電源を切り離すなどして、原因の範囲を絞り込みましょう。
具体的な例としては以下のような切り分けが有効です。
* **電源の切り替えによる切り分け**
電池接続時に異常動作が発生する場合、安定化電源に切り替えて動作確認します。
電池の内部インピーダンスによる電圧降下や電流不足が原因かどうかを切り分けられます。
* **後段デバイスの切り離し**
後段のチップセットや負荷デバイスの電源ラインを遮断・オープン状態にして、後段デバイスが原因か切り分けます。
## **4. 不良率で原因を切り分ける**
### **不良率が高い場合**
不良率が高い場合は、設計・実装に起因する問題が疑われます。まず以下を重点的に確認してください。
1. **半田付け・実装向きの確認**
半田ブリッジ・半田不足・部品の向きミスがないか確認します。
詳細は「ICの半田付けが正常にできているか確認する方法」の記事を参照してください。
2. **実装部品の確認**
品番・極性・実装向き・定数が正しいか確認してください。
特に似た外観の部品の取り違えに注意が必要です。
### **不良率によらず確認すること**
回路図の結線・定数ミスと各ノードの電圧・波形確認は、不良率によらず重要な確認項目です。
問題になっているIC・周辺部品の電圧・電流が所望の動作になっているかを確認しながら、回路図に問題がないか見ていきましょう。
異常動作が出ているICだけでなく、その前後のデバイスの特性や周辺部品が原因の可能性もあります。「ここは原因ではない」という思い込みをもたずに、一つ一つノードを確認していくことが重要です。思い込みがあると、真因に気づくのが遅れてしまうことがあります。
* **3-1. 各ノードの電圧・波形確認**
IC直近で所望の電圧が入力されているか確認します。ICが動作していない場合は、起動途中で動作停止している可能性があるので、起動波形をチェックしてください。波形確認の際は、確認したい現象に合わせて時間軸・電圧・電流のスケールを適切に設定することが重要です。
* **3-2. ICの動作・データシートの確認**
ICが期待通りの動作をしているか、データシートに記載されている動作説明・推奨定数・注意事項を改めて確認しましょう。見落としがちな動作条件や制限事項が原因になっているケースがあります。
* **3-3. 回路図の確認(結線・定数ミス)**
回路図の結線が正しいか、定数が設計通りかを確認します。似た値の部品の取り違えや、フィードバック抵抗の逆差しなどは見落としがちです。
また容量の定数確認では、そのノードに接続している全容量を確認するのが重要です。
よくある事例としては、DC/DCの直近には推奨通りの出力容量しか接続していないが、その後段のFPGAの入力容量に大容量が接続していることで、起動不良が発生する事例が頻繁にみられます。
## **5. 原因が特定できたら**
原因がわかれば、対策を実施していきましょう。
現象はわかるが対策方法がわからない場合は、上記で調べた症状・条件・不良率などの情報をICメーカに伝えて、対策方法を相談するのも一つの方法です。
## **まとめ**
1. 測定環境に問題がないか確認する
2. どのICが・どのような条件で動作しないかを把握する
3. 後段デバイスの切り離し等で原因の範囲を絞り込む
4. 不良率が高い場合は半田付け・実装部品を重点的に確認する
5. 各ノードの電圧・波形確認と回路図の結線・定数確認を行う
6. 原因が特定できたら対策を実施。わからない場合はメーカに相談する
