投稿日 : 2026年9月8日 / 最終更新 : 2026年9月8日
起動シーケンスの設計上の都合により、CE・EN・MODE・VSEL・VSEN・PG等の制御端子へ、VIN端子より先に電圧が印加されるケースがあります。 本記事では、この場合の影響と判断方法について解説します。 ## 1. VIN端子より先に制御端子へ電圧が印加される場面 複数電源を扱うシステムでは、起動シーケンスによってVIN端子への供給前に制御端子へ電圧が印加されることがあります。具体的には以下のような場面です。 * MCUやFPGAの電源が先に立ち上がり、制御端子へ電圧が印加される * VSEN端子やMODE端子が、先に立ち上がる他の電源ラインから抵抗分割等で接続されている * PG端子が、先に立ち上がる他の電源ラインへプルアップされている
## 2. 影響の判断方法 ICによってはVIN端子より先に電圧を印加しても問題ありませんが、製品によってはこれが禁止されていたり、定格保証外となったりする場合があります。この違いは、主に**制御端子のESD保護素子の有無**に起因します。 * **ESD保護素子がない場合** 内部素子のゲートへ電圧が印加されるのみで、電流経路が形成されません。このため、**VIN端子より先に電圧を印加しても問題ない**場合が多いです。 この場合、データシートの絶対最大定格には「-0.3V〜7.0V」のように絶対値で記載されており、VIN端子の状態に関わらず定格内であれば印加可能です。 * **ESD保護素子がある場合** 制御端子とVIN端子の間にESD保護素子(寄生ダイオード)が存在します。VIN端子が0V(GND)の状態で制御端子に電圧を加えると、この寄生ダイオードを通じてVINラインへ電流が流れ込みます。これにより「VIN+0.3V」の絶対最大定格を即座に超えてしまい、**ICの定格保証外となります**。
## 3. 確認方法 データシートの「絶対最大定格」項目を確認してください。 * **VIN基準の記載(例:-0.3V〜VIN+0.3V)** 制御端子とVIN端子の間にESD保護素子が存在します。**VIN端子より先に電圧を印加することはNGです。** * **独立した絶対値の記載(例:-0.3V〜7.0V)** 制御端子-VIN端子間に上記の寄生ダイオードが存在しない設計です。 VIN端子電圧の状態に関わらず、印加電圧が定格範囲内であれば、先に電圧を印加しても問題ないケースが多いです。 ## 4. 注意とメーカーへの確認 データシート上の記載から上記のように判断が可能ですが、以下の点には注意が必要です。 * **IC内部のテストモード** ESD保護素子が無くても、IC内部の回路構成やテストモードの仕様により、特定シーケンスでの電圧印加が誤動作を誘発する可能性があります。 * **製品ごとの設計思想** データシートの記載はあくまで「定格」であり、保証する「動作」とは異なる場合があります。 量産設計などでシーケンス条件が厳しい場合は、必ずメーカーへ「VIN端子より先に電圧を印加しても良いか」を個別にお問い合わせください。 ## まとめ 1. VIN端子より先に制御端子(CE/EN/MODE/VSEL/VSEN/PG等)へ電圧が印加されるケースがある 2. ESD保護素子がある場合、寄生ダイオードを経由してVINラインへ電流が流れ込むためNG 3. ESD保護素子がない場合、内部素子のゲートへの電圧印加のみとなるためOKの場合が多い 4. データシートの絶対最大定格の記載(VIN基準か、絶対値か)で判断可能だが、不明な場合はメーカーへ問い合わせること