投稿日 : 2026年9月8日 / 最終更新 : 2026年9月8日
DC/DCコンバータの出力スパイクノイズ等の高周波信号を測定する際、オシロプローブの接続方法によって測定結果は劇的に変化します。誤った測定方法では、実際には存在しないノイズや、測定系由来の過大なリンギングを拾ってしまい、誤った評価につながります。 ## 1. GNDリードが長いと何が起きるか 通常のプローブに付属するGNDリード線には**インダクタンス成分**があります。 これがプローブの入力容量と共振回路を形成し、数十MHz以上の高周波成分を過大に増幅・リンギングさせます。このため、GNDリードを使って測定すると、実際より何倍も大きなノイズ値や波形が観測されてしまいます。 ## 2. スパイクノイズを正確に測定するには GNDのインダクタンスを排除するため、プローブのGNDを最短距離(測定点の直近)で取ることが必須です。 **推奨手順:** 1. プローブのGNDリードやフックチップを外す。 2. プローブ先端のコンタクト部と、金属製のGNDスリーブ(シールド部)を露出させる。 3. この状態のプローブ先端を、VOUT側とGND側に直接押し当てて測定する(通称:直接当て測定)。 * GNDスプリング(アースアタッチメント)を使用しても同様の効果が得られます。
通常プローブと直接当ての測定波形を比較すると、GNDリードを使った通常のプローブ方法ではスパイクノイズが大きく測定されており、高周波信号が正確に測定できてないことがわかります。
## 3. 測定環境による使い分けと工数の考慮 測定の目的や優先度に応じて、接続方法を適切に選択してください。 | 測定内容 | 推奨接続方法 | 理由 | |---|---|---| | リップル電圧(数MHz以下) | 通常のGNDリード接続 | 利便性が高く、評価工数を抑えられる | | スパイクノイズ(数十MHz以上) | 直接当て測定(GNDリード除去) | 高周波信号の正確な評価 | 高周波測定には、プローブの準備や安定したコンタクトを維持するための工夫が必要となり、どうしても評価工数がかかります。そのため、**リップル電圧のような低周波測定であれば、無理に直接当て測定を行わず、通常のGNDリードで測定する判断も実務上は重要です。** また、不要な高周波ノイズの混入を避けたい場合や、スパイクノイズの正確な評価が難しい環境下では、**オシロスコープの帯域制限フィルタ(BW Limit 20MHz等)を積極的に活用してください。** これにより、測定系に由来する高周波の映り込みを物理的にカットできるため、ノイズ評価の効率と信頼性が向上します。 ## 4. パッシブプローブの帯域の注意点 高周波ノイズを正確に測定するには、プローブ自体の帯域も重要です。測定対象のノイズ周波数に対して十分な帯域を持つプローブを選択してください。また、高周波測定時にはプローブの倍率(10:1)を使用し、入力容量を最小化することも重要です。 ## まとめ 1. 長いGNDリードはインダクタンスによりスパイクノイズを過大評価させる 2. 正確なスパイクノイズ測定には、GNDリードを外してプローブ先端を直接当てるのが鉄則 3. 高周波用の直接当て測定は工数がかかるため、目的(リップル確認等)に応じて通常のGNDリード接続と使い分けるのが効率的 4. 測定目的に合わせ、オシロスコープ側の帯域制限フィルタ(BW Limit)を適切に活用する