投稿日 : 2026年9月8日 / 最終更新 : 2026年9月8日
通常の使用環境では問題なく動作していたICが、特定の光源が近くにある環境で出力が停止したり、動作が不安定になることがあります。 これは、半導体素子に光が照射されると、**光電効果**によって電子-正孔対が生成され、リーク電流が増加します。 ICの内部回路には、微小な電流で動作している回路があります。光照射によってリーク電流が発生すると、**内部回路の動作バランスが崩れ、ICが正常に動作できなくなる場合があります**。 ## パッケージ構造と光の影響 光の影響を受けやすいかどうかは、**パッケージ構造**に大きく依存します。 * **モールド樹脂封止(QFN・SOT・SOP等)** 一般的なICはモールド樹脂でシリコンダイが覆われています。 モールド樹脂は可視光をほぼ遮断しますが、**紫外線・赤外線・近赤外線は完全に遮断できません**。これらの波長帯を含む強い光源がある環境では、光がモールド樹脂を透過してシリコンに到達し、影響を与える可能性があります。 * **WLP/CSP(ウェハレベルパッケージ)** WLPやCSPはシリコンダイがほぼむき出しの状態です。 光が直接シリコンに照射されるため、**モールド樹脂封止品に比べて光の影響を受けやすい**です。ICに強い光が当たる場合には特性に影響が出る可能性があります。 * **缶パッケージ(メタルキャン)** 金属ケースでシリコンダイを封止する構造です。金属が光を完全に遮断するため、光の影響を受けません。 光の影響が問題になる用途では有効なパッケージ選択肢のひとつです。 なお、缶パッケージは主にオペアンプや一部のアナログICに使われています。 ## 光の影響を受けやすい条件 - **WLP/CSPパッケージ** - **強い光源**(太陽光・白熱灯・ハロゲン・赤外線LED等)が近傍にある - **遮光なしで光源に直接さらされる** - **内部動作電流が小さい**IC ## 対策 * **遮光** 最も確実な対策です。ICを遮光テープ・遮光カバー・金属シールドで覆い、光が直接当たらないようにします。 基板全体をケースに収納する設計であれば、ケース自体が遮光になります。 * **光源の管理** 評価・デバッグ環境では照明の種類や向きを変えることで影響を確認・排除できます。 紫外線・赤外線を多く含む白熱灯・ハロゲンランプをLED照明に変えることで改善する場合があります。 * **実装位置の見直し** 光源に近い位置にICを配置しない、または光が当たりにくい面に実装するなど、基板レイアウトで対応できる場合があります。 ## 確認方法 光の影響が疑われる場合、**ICを遮光した状態で動作確認**を行います。遮光後に正常動作すれば光の影響が原因と特定できます。 ## まとめ - 光電効果により半導体素子のリーク電流が増加し、内部回路の動作バランスが崩れる - モールド樹脂封止品は可視光をほぼ遮断するが、紫外線・赤外線・近赤外線は完全に遮断できない - WLP/CSPはシリコンがむき出しのため光の影響を受けやすく、遮光設計が必要 - 缶パッケージは金属封止のため光の影響を受けないが、電源ICでは一般的ではない - 対策は遮光が最も確実。まず遮光での動作確認で原因を切り分ける