投稿日 : 2026年9月8日 / 最終更新 : 2026年9月8日
電源ICの効率測定は、マルチメータの挿入位置や接続方法によって正確な測定ができない場合があります。 また測定系の抵抗による電圧降下を考慮しないと、ICの本来の性能より悪い効率が算出されてしまいます。 ## 1. 効率の定義 効率($\eta$)は出力電力を入力電力で割った値です。 $$\eta = \frac{P_{OUT}}{P_{IN}} = \frac{V_{OUT} \times I_{OUT}}{V_{IN} \times I_{IN}}$$ $V_{IN}$・$V_{OUT}$・$I_{IN}$・$I_{OUT}$のいずれかに測定誤差があると、効率の計算結果に誤差が生じます。 ## 2. マルチメータの挿入位置 ### 電圧計の挿入位置 電圧計はDUT(Device Under Test:被測定デバイス、評価対象の基板・IC)の入力・出力端子の**直近**で測定することが重要です。 電源装置や負荷の端子の電圧を測定すると、配線抵抗・接触抵抗による電圧降下が含まれてしまい、DUTに実際に印加されている電圧と異なる値が測定されます。また電源装置の設定電圧を計算に使わず、電圧計で測定した入力・出力端子の**直近**を計算に用いましょう。 ### 電流計の挿入位置 電流計は電源装置とDUTの間(入力側)、およびDUTと負荷の間(出力側)に直列に挿入します。電流計自体にも内部抵抗があるため、挿入位置によって電圧降下が生じることに注意が必要です。 ## 3. 電流計の抵抗成分 電流計(マルチメータの電流レンジ)には内部抵抗があります。また電流測定にシャント抵抗を使用する場合も同様に抵抗成分が生じ、電流計の両端に電圧降下が発生します。 この電圧降下が電圧計の測定値に含まれないよう、**電流計と電圧計の挿入位置の関係**に注意が必要です。電圧計はDUT端子の直近で測定し、電流計の抵抗による電圧降下が電圧測定値に含まれないようにします。
## 4. レンジ設定の注意 ### 電圧計 電圧計は自動レンジで問題ありません。 ### 電流計 電流計は**手動で適切なレンジを設定**することを推奨します。 自動レンジの場合、電源ON時に低い電流レンジから測定を開始するため、起動時の突入電流がレンジ切り替え前の低いレンジに流れてしまいます。この状態では電流計の内部抵抗が高く、電圧降下が大きくなるため、DUTが正常に起動できない場合があります。また動作中にレンジが切り替わると内部抵抗が変化し、特性測定に影響が出ることがあります。 あらかじめ測定する電流値を把握した上で、適切なレンジに手動設定してから電源をONすることが重要です。 ## まとめ 1. 効率は$V_{IN}$・$V_{OUT}$・$I_{IN}$・$I_{OUT}$の4つの測定値から計算するため、いずれかの誤差が効率計算全体に影響する 2. 電圧計はDUT端子直近に接続し、配線・接触抵抗による電圧降下を測定値に含めない 3. 電流計の内部抵抗・シャント抵抗による電圧降下が電圧測定値に含まれないよう挿入位置に注意する 4. 電流計は測定電流に応じたレンジに手動設定する