投稿日 : 2023年11月14日 / 最終更新 : 2023年12月7日

ここでは、プルアップ抵抗による電圧の浮き上がりとプルアップ抵抗の選定方法を説明します。

プルアップ抵抗の選定方法

電圧検出器のプルアップ抵抗は10k~数100kΩ程度が一般的です。
プルアップ抵抗の抵抗値が小さい場合は、ドライバFETのオン抵抗により”L”電圧とVssとのずれが大きくなります。同様にプルアップ抵抗の抵抗値が大きい場合は、ドライバFETのリーク電流により”H”電圧とVIN(VDD)とのずれが大きくなります。
そのため、実仕様条件で後段 IC の論理を満たせるようなプルアップ抵抗を選定して下さい。
出力”L”時にプルアップ抵抗に流れる消費電流を低減したい場合はプルアップ抵抗値を高めに設定して下さい。
外部ノイズ等の影響でアプリケーションが誤動作することを防止したい場合は、プルアップ抵抗値を低めに設定して下さい。

【Appendix】出力”L”最大値 / “H”最小値 計算方法

XC6138シリーズを例として、出力”H”電圧, 出力“L”電圧の最大値・最小値を計算します。

【出力“L”電圧 最大値】

VRESETB = Vpull / (1 + Rpull / RON_MAX)
Vpull :プルアップ電圧
RON_MAX :Nch ドライバ の ON 抵抗 MAX.

計算例) VDD=2.2V, Vpull=1.8V, Rpull=10kΩ 時
Step 1. RON_MAX算出
電気的特性より、RON_MAXをVRESETB/IRBOUT_MINから算出
RON_MAX = 0.3V / 2.5mA ≒ 120Ω (MAX.)

Step 2. VRESETB算出
RON_MAXを用いて、出力“L”電圧 最大値を算出
VRESETB = Vpull / (1 + Rpull / RON_MAX) = 1.8V / (1 + 10kΩ / 120Ω) ≒ 21mV



【出力“H”電圧 最小値】

VRESETB = Vpull – Rpull × ILEAKN_MAX
Vpull                :プルアップ電圧
ILEAKN_MAX     :Nch ドライバ のリーク電流 MAX.

計算例) Vpull=6.0V, Rpull=100kΩ 時
Step 1. ILEAKN_MAX
電気的特性より、ILEAKN_MAX = 0.1μA (MAX.)

Step 2. VRESETB算出
ILEAKN_MAX を用いて、出力“H”電圧 最小値を算出
VRESETB= Vpull – Rpull × ILEAKN_MAX = 6.0V - 100kΩ × 0.1μA = 5.99V