投稿日 : 2023年2月20日 / 最終更新 : 2023年4月6日

電圧レギュレータの動作ですが、入力電圧や出力電流に応じてドライバトランジスタ / FETの抵抗値を調整することで出力電圧を一定に保ちます。

ここではどのように入力電圧や出力電流に応じて、ドライバトランジスタ / FETの抵抗値を制御し、出力電圧を一定に保っているか説明します。

ドライバFETの抵抗値の制御は、エラーアンプを用いたフィードバック回路(負帰還回路)により、ドライバFETのゲート電圧(=エラーアンプの出力)を調整することで行っています。

具体的には、エラーアンプで “出力電圧の分割電圧: FB” と “基準電圧: VREF” の比較を行い、差分がゼロとなるようにドライバFETのゲート電圧を調整することで、出力電圧を一定に保っています。

この説明だけではイメージが掴みにくいので、簡単な例を使ってエラーアンプの動作を見てみます。

Case1 : 出力電圧が設定出力電圧より低い場合

出力電圧が設定出力電圧よりも低い場合、エラーアンプの基準電圧VREFよりFB電圧が低くなり、エラーアンプの出力電圧を低下させます。

エラーアンプの出力はPchドライバFETのゲートに入力され、PchドライバFETのオン抵抗 “Ron” を低下させます。

PchドライバFETのオン抵抗 “Ron” が低下すると、ドライバFETでの電圧降下が減少するため、出力電圧が上昇していきます。この動作により設定出力電圧より低かった出力電圧が上昇します。

この動作は出力電圧が設定出力電圧値に等しくなるまで継続します。

VOUT ⇒ FB < VREF
⇒ Error AMP : Low ⇒ Pch Driver “Ron

つまり、

VOUTが設定より下がったらPchドライバRonを下げVOUT上げる

ことにより、VOUTを設定値で安定させる。

Case2 : 出力電圧が設定出力電圧より高い場合

出力電圧が設定出力電圧より高い場合、エラーアンプは基準電圧VREFよりもFB電圧が高くなり、エラーアンプの出力電圧を上昇させます。

エラーアンプの出力PchドライバFETのゲートに入力され、PchドライバFETのオン抵抗 “Ron” を上昇させます。

PchドライバFETのオン抵抗 “Ron” が上昇すると、ドライバFETでの電圧降下が増加するため、出力電圧が低下していきます。この動作により設定出力電圧より高かった出力電圧が低下します。

この挙動は出力電圧が設定出力電圧値に等しくなるまで継続します。

VOUT ⇒ FB > VREF
⇒ Error AMP : High ⇒ Pch Driver “Ron

つまり、

VOUTが設定より上がったらPchドライバRonを上げVOUT下げる

ことにより、VOUTを設定値で安定させる。

このように、出力電圧を監視してフィードバックすることで、”設定出力電圧を一定に保つ” ように制御しているのが、リニアタイプの電圧レギュレータです。