投稿日 : 2023年6月20日 / 最終更新 : 2023年8月3日

ここでは、DC/DCの入力側に抵抗成分が入っている場合の最大出力電流や効率の算出方法について説明します。

蓄電デバイス(一次電池・二次電池・EDLC)の内部インピーダンス・保護部品(ヒューズ等)・ノイズ対策部品(フェライトビーズ・コモンモード等)により、DC/DCの入力ラインに抵抗成分が存在することがあります。

この入力ラインの抵抗成分により、DC/DCのVIN端子電圧が低下し、最大出力電流の大幅な低下やシステム全体の効率の低下が発生することがあります。特に昇圧DC/DCでは、最大出力電流の低下が顕著に見えるため、実機作成前に確認することが重要となります。

1. シミュレーションの実行(IC選択 / 電源仕様の入力)

入力項目にシミュレーション条件を入力してシミュレーションを実行して下さい。

Step1. 製品の選択
Step2. 発振周波数の選択
Step3. 動作モードの選択
Step4. 電源仕様の入力 (Vin/Vout/Iout/周辺部品定数 etc)

DC/DCの入力容量から手前にある
抵抗成分(電池の内部インピーダンス・受動部品のDCR etc)を”Rvin”に入力して下さい。

2. Rvinによる最大出力電流および効率への影響

以前説明したように、“Summary” タブ から最大出力電流を、”Efficiency / Tj / Duty” タブ から効率を確認できます。

ここでは具体的な例として、PWM/PFM制御方式の昇圧DC/DC XC9142シリーズ 1.2MHzを用いて、Rvinが0Ω~10Ωでの最大出力電流と効率を示します。

以下の結果を見てわかるように、Rvinが大きくなるにつれ最大出力電流が著しく低下し、重負荷時の効率が極端に低下しています。
この結果から 内部抵抗が高いコイン電池 / 乾電池 / 二次電池や、DCRが高いポリヒューズ等を使う機器では、これらの抵抗により最大出力電流が大幅に低下し 負荷デバイスが正常に動作しない原因となります。

Rvinを考慮したシミュレーションを行うことで、実機確認前にシステム構成の妥当性確認を行うことができ、設計の後戻り低減に寄与します。

(a) Rvin=0Ω ⇒ Iout max=660mA

(b) Rvin=1Ω ⇒ Iout max=380mA

(c) Rvin=5Ω ⇒ Iout max=97mA

(d) Rvin=10Ω ⇒ Iout max=49mA