投稿日 : 2026年1月26日 / 最終更新 : 2026年3月4日
文責 : 釜野信彦

電子機器の電源供給に不可欠なDC/DCですが、一概にDC/DCといっても 製品によってドライバ構成や制御方式等が異なってきます。
ここでは、DC/DCのドライバ構成や制御方式や、その違いが特性等にどのように影響するか解説します。

1.DC/DCコンバータとDC/DCコントローラの基本的な違い

DC/DCコンバータとDC/DCコントローラは、パワーMOSFET(ドライバトランジスタ)の内蔵の有無によって区別されます。
この違いが、それぞれのICの特性、実装の容易さ、そして最終的なコストに大きな影響を与えます。

・DC/DCコンバータ(内蔵FETタイプ)

DC/DCコンバータは、一般的にパワーMOSFETをIC内部に内蔵しているタイプを指します。
DC/DCコンバータでも、同期整流方式のようにパワーMOSFETを両方とも内蔵している製品と、非同期整流方式のように片方だけパワーMOSFETを内蔵している製品があります。

・DC/DCコントローラ(外付けFETタイプ)

DC/DCコントローラはパワーMOSFETを内蔵せず、外付けで接続するタイプのDC/DCです。
外付けMOSFETの選択により大電流や高効率に対応可能ですが、実装面積と部品点数は増えます。
また周辺部品を選択する必要があるため、部品選定のための知識が必要となり設計難易度はDC/DCコンバータと比べて難しくなりがちです。

DC/DCコンバータ(内蔵FET)DC/DCコントローラ(外付けFET)
パワーMOSFET内蔵外付け
実装面積小さい比較的大きい
部品点数少ない多い
最大出力電流小~中電流向け大電流向け
設計の容易さ比較的容易複雑(FET選定・レイアウト等)
設計の自由度比較的低い比較的高い
EMI対策比較的容易複雑(レイアウト依存)

2.ドライバ構成と特性への影響

DC/DCのドライバ構成は、効率や部品点数に大きく影響します。

2.1 非同期整流方式

Pch FETとSBD(ショットキーバリアダイオード)を組み合わせます。
SBDの順方向電圧降下による損失があるため効率は劣りますが、DC/DCコンバータ内部の制御回路がシンプルにできるメリットがあります。
SBDが外付けとなるので、同期整流方式と比べて部品点数が増えます。

2.2 同期整流方式

還流ダイオードのSBDの代わりにMOSFETを同期して使用する方式です。
ダイオードのVF損失がないため、高出力電流時や低出力電圧時でも高い効率を実現できます。
降圧DC/DCコンバータの場合、High Side側のドライバFETにPch FETを使用、Low Side側のドライバFETにNch FETを使用します。

2.3 ブートストラップ方式

同期整流方式で、High Side側とLow Side側の両方のドライバにNch FETを使用する方式です。
High Side側にNch FETを使用するため、同期整流方式と比べドライバサイズを小さくできるメリットがあります。
これにより、同サイズでより低オン抵抗を実現できたり、同等の性能であればより小型化・低コスト化が可能になります。

ただし、High Side側にNch FETのゲートを駆動するために、VIN電圧以上の電圧が必要になるため ブートストラップ容量が必要となります。

ドライバ構成主スイッチ還流素子特徴効率部品点数
非同期整流方式Pch FETSBD制御回路シンプル普通
同期整流方式Pch FET Nch FET 高効率、大電流対応、複雑な制御が必要少ない
ブートストラップ方式Nch FET Nch FET 高効率、大電流対応、複雑な制御が必要非常に高い普通

制御方式

3.1 制御方式 (PWM or PFM)

DC/DCの制御方式ですが、スイッチング周期・オン時間を制御する 制御方式として PWM制御、PFM制御やPWM/PFM自動切替制御が存在します。
この制御方式の違いは、軽負荷効率、ノイズ特性、出力リップル電圧に大きく影響します。

動作モードスイッチング周波数ON時間幅軽負荷効率出力リップルノイズスペクトル
PWM制御一定可変低い小さい特定周波数
PWM制御可変一定高い大きい負荷により変動
PFM/PWM
自動切替
負荷に応じて自動切替可変高い軽負荷:大きい,
重負荷:小さい
軽負荷:変動,
重負荷:特定周波数

3.2 位相制御方式 (電圧/電流/COT制御)

どのような情報をIC内部にフィードバックして、安定した出力電圧を得るための位相制御方式です。
主に3種類の制御方式が存在します。

電圧圧制御: 出力電圧を直接フィードバックします。制御ループはシンプルですが、過渡応答特性は劣る場合があります。

電流制御: 出力電圧に加え、コイル電流もフィードバックします。電圧制御と比べて負荷変動や入力電圧変動に対し高速かつ安定した応答が可能です。

COT制御: 出力電圧低下時に一定のON時間を生成する方式です。負荷変動に対する応答が非常に高速で、補償回路がシンプルです。

制御方式フィードバック対象過渡応答特性
電圧制御出力電圧中程度
電流制御出力電圧 + インダクタ電流高速
COT制御出力電圧(リップル)非常に高速
文責 : 釜野信彦

トレックス・セミコンダクター 2005年入社。
DC/DC等の電源IC開発に6年携わった後、オフラインLEDドライバの技術サポートを3年従事。その後、トレックスの電源IC顧客向け技術サポートを担当。
開発で培った知見と、長年の顧客サポートで蓄積した電源関連やトラブル事例対策の豊富なノウハウを基に、トレックス製品の技術サポートや製品提案に従事しています。
顧客サポートの一環として、設計支援ツールの開発も手掛け、お客様の設計プロセスを強力に後押しします。